《エンベッディングI》初演@木ノ脇道元リサイタル@ペガサス・コンサート

Phidias Trioのエントリーを連投し始めたところですが、実はもうひとつ初演が、しかも差し迫ってあるため、告知させていただきます。

日本現代音楽協会主催のペガサスコンサートで、フルーティストの木ノ脇道元さんがリサイタルを行います。ここで私の新曲が初演されます。

「どーげんをプロテュース」というシリーズがありまして、これは毎回ひとりの作曲家などが木ノ脇道元リサイタルを「プロデュース」するというものです。そして今回の現音によるペガサス・コンサートでは、これまでの「どーげんをプロテュース」から選りすぐりの曲を集めたそうなのですが、そこになぜ私の曲が入るのかというと、私が来年の「どーげんをプロテュース」の「プロデューサー」となっているためです。説明がややこしくてすみません。

プログラムをみると、「木ノ脇道元」というレジェンダリーな演奏家が、様々にユニークな音楽を引き寄せたような光景が拡がっています。

ここでは簡単に、私の曲の紹介をさせていただきます。

フルート・ソロの作品は初めて書きました。タイトルは《エンベッディングI》ですが、embeddingとは「埋め込み」を表します。これは言語学に関わる用語ですが、まずは私が楽譜に添付した解説をそのまま引用します。

要約すると……チョムスキーは言語に入れ子構造が必ずあるとし、エヴェレットはピダハン語にはないと主張した。中井悟はこの主張に疑問を呈し、自身の論文で説明した。そしてその文自体に複雑な入れ子構造が含まれていたので、これを分解し、入れ子の仕組みを音楽化した、ということになります。

こう書いてみると、私はつくづくひねくれてるなあ、と思います。もちろんこの曲は中井論文の批判や皮肉でもなんでもありません。私たちが自然に使っている「複文」を客観的に考える機会をもち、それが言語界で話題になっているということが単純に面白いなあ、というだけのことなのですが、現象的には「複文構造」の論争に触れた「複文構造」文章をあえて分解した曲を書いたということになりました。これもややこしくてすみません。

この複文構造の問題を私がなぜ新作に取材しようとしたのかというと、たまたま読んだ「ピダハン」に関する書籍が面白かったのと、音楽の言語的性質に興味があったためです。この言語的性質というのは、コトバが持っている脈絡やフレージングといった性質のことで、それは音楽も持っているものです。そして上記の引用文にあるように、言語にはコトバが一本の線のように並んでいる「線状性」という特質があり、それは同時発音数が基本的にひとつであるソロ管楽器の作品に適しているのではないか——まさに「テーマが音楽に合致した」——と感じたわけです。

そんなわけで、あらためてコンサートの情報です。

なお日本現代音楽協会では、この時期に他にも様々な興味深い公演を予定しています。詳しくはこちらをご覧ください。個人的には12月23日の「ルイジ・ノーノ×イサオ・ナカムラ(指揮)
〜《Risonanze erranti》日本初演〜」は激推しです。

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