[境界概念]作品について③《太平洋》

なんともおおらかな雰囲気が漂うタイトルですが、4分音とややこしい単位のリズムが入り乱れる速い曲なので、演奏者はおそらく必死です。

今回演奏されるのは、元々クラリネットとユーフォニアムの作品をヴィオラとバスクラリネットに書き換えたもので、改訂初演という扱いになるでしょうか。

この動画はもちろんオリジナルのものです。

作曲した2015年当時は四分音衝突といっても、専らピアノに衝突させることに関心が集中していたため、管楽器同士でぶつけることはあまり積極的ではありませんでしたが、それでも随所随所に聴かれますね。

初演はアメリカのサンディエゴにあるカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で、そこから近い海岸ではアザラシの群れが岩場で身体を休めているのを見ることができました。もちろんその海はちょうど日本とは逆方面から眺める太平洋です。

私は曲のタイトルにあまり「想い」を込めず、いわば識別記号のようなものと思っているため、時としてこのような味気ない理由でタイトルを決めたりするのですが、面白いことに決めた後ではこの曲は《太平洋》という名前以外に考えられなくなります。

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