コラール変奏曲《高き天より》が初演されます(バッハのチェロ組も)
本当かどうか知りませんが、「高き天より、我は来たれり」(Vom Himmel hoch, da komm’ ich her)というクリスマス・キャロルは、宗教改革者のマルティン・ルターが作曲したということになっています。
この旋律、日本ではそこまでメジャーではありませんが、ヨーロッパではそこそこ知られているのか、子供用のYouTube動画も上がっています。
もう少しアカデミックな話をすると、この旋律はバッハやメンデルスゾーンなど、多くの作曲家の作品に定旋律として使われているほどのヒット曲ですが、私が特に気に入っているのはM.プレトリウスの《シオンのムーサ》です。
伝ルータの旋律をじわじわと少しずつ変奏させていきます。飽きません。
さて、私の勤める愛知県立芸術大学のユーフォ・テューバ専攻の学生さんから、ユーフォニアム2本とテューバ2本の、いわゆる「バリチュー・カルテット」の作曲依頼を受けたので、この旋律を使って私も変奏曲を書くことにしました。実は秋の個展が終わった後に、ここ数年ないほどのスランプに陥り、この旋律を使おうと思いついたところからようやく這い上がり筆を動かすことができました。その意味ではルターには感謝です。
バリチュー・カルテットには、既にバッハの無伴奏チェロ組曲の1番と5番を書いたことがありました。
このうち第1番は今回も同じ公演で演奏されますが、どれかの楽器は必ずミュートをつけています。すべて円錐管の低音楽器であるバリチューは、よくいえば音色が非常に柔和な響きなのですが、アーティキュレーションがあまり明瞭ではないという欠点があります。そこで音色とアーティキュレーションの偏りを作り、「一つにまとまった音響」から脱却するためにミュートを使いました。今回の新曲《コラール変奏曲「高き天より」》でもユーフォ1本にミュートをつけて、同じことを狙っています。


フライヤーが結構ぶっ飛んでいます(笑)。
3月4日の18:45より、名古屋市瑞穂区の瑞穂文化小劇場です。いつも直前の告知ですみません。