山形の内陸ですが《海の見える風景》

私の出生地が山形市であるということで、私の曲が山形のコンサートで演奏されることになりました。これは嬉しい。

個人的な話になりますが、山形市は私の出生地ということで、子供の頃は毎年夏になると、母に妹と共に連れられて、特急「やまばと」に乗り、4〜5時間かけて山形市に帰省、いとこたちと遊んだ昭和の記憶があります。成長しても心の中では山形を「第2の故郷」のような親近感を持ったものでした。

社会人になってからは、住んでいた祖母も他所に移り、なかなか山形に行く機会がなくなったため、疎遠になってしまいました。1年半前にかなり久しぶりに、老齢の母を連れて実家のお寺を訪ねましたが、子供の頃に見ていた山形市内の空気感を思い出すことは難しく、駅近くのこじゃれた通りの脇の蕎麦屋で「山形蕎麦」をすすりました。あまり知られていませんが、山形の蕎麦は隠れた名物なのです。この蕎麦は、私が懐かしい山形を思い出すアイテムの一つです。

もう一つの懐かしアイテムは、山田家の「白露ふうき豆」です。ふうき豆は複数の店が出していますが、この「白露ふうき豆」は鼻腔を包む絶妙な芳香と上品な甘さで、食べ始めたら止まらない素朴なお菓子です。お取り寄せは可能なものの、申し込みは未だFAXかハガキという前時代方式が、逆に稀少性を生む、知る人だけが注文する逸品といえます。何度か注文したことはあったものの、このとき初めて店舗を訪れ、「こんな小さい店なのか」と、長らく文通のみで知っていた遠い知人と思いがけず邂逅したような小さな感動を覚えたものです。

さて、肝心の曲ですが、《海のみえる風景》は現時点で2曲しかない歌曲のひとつです。2005年に私が育った街である神奈川県逗子市にある「逗子文化プラザホール」の開館記念イベントで委嘱されたもので、2023年にニューヨークで開催された「Music From Japan」フェスティヴァルで再演されています。初演の主催者からは、海にちなんだテキストをいくつか提示された記憶があり、小島ゆかりさんの短歌を選びました。曲の内容については「Music From Japan」の記事に書きましたのでくり返しませんが、今回は海に面さない山形市での再演となります。

今回の主催者の方が、私が山形で生まれたという情報をどこかで知り、わざわざメールをいただき、このたび演奏していただくことになりました。山形や宮城、福島の方には、是非ともお越しいただければと思います。

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