今年のスーパーウィンズはバッハのリコンポジションです。
書きかけのまま置いていたらいつの間にか来週になりました……
毎年11月に北海道で開催される、北海道教育大学岩見沢校「スーパーウィンズ」。毎年何らかの曲を演奏していただいています。そして今年の拙作のタイトルは「シオンは物見らの歌うを聴けり」です。
J.S.バッハに詳しい人は「ああ、BWV140の……」となると思います。有名なカンタータ《目覚めよと呼ぶ声が聞こえ》内のコラールのタイトルが「シオン〜」です。
つまりこのコラールをいじった曲を今回演奏していただくのですが、実はこの曲は「リコンポジションの編曲」です。何を言っているのかというと……そもそも話は2016年に遡ります。《物見らの声-BWV140にちなんで Die Stimme der Wächter – nach dem BWV140》というオーケストラ曲を京都フィルのために書いたことがありました。カンタータ140番全曲を小編成オケのためにリコンポジション(再作曲)したものです。この中のコラール〈シオンは物見らの歌うを聴けり〉は、Soundcloudにアップしてあります。
このときのリコンポジションは自分で結構気に入っていて、実は今年室内楽に書き換え、こちらのコンサートのアンコールで初演されています。
スーパーウィンズでは、これをさらに吹奏楽に書き換えたものを演奏していただきます。しかし何らかの工夫はしたいところ。まずはリコンポジション前の原曲の通奏低音をリアリゼーションする、つまり普通に「編曲」したものを第1曲目に据えました。これは管楽アンサンブルと(原曲通りに)「合唱」という編成です。合唱は……この楽章で楽器を吹かない人達に歌っていただきます(笑)。
2曲目は、上述のリコンポジション版を吹奏楽版にしたものです。ただし、今年のスーパーウインズのテーマは「メタ吹奏楽」。これを私は勝手に「吹奏楽っぽくない」と解釈し、吹奏楽っぽくないオーケストレーションにしました。そのことを具体的にはここで書くとさらに大変なことになるので書きませんが、少なくともバンダが入ります。
ところでそもそもこのリコンポジションは具体的にどのようなものかというと、簡単にいうと、原曲に表れる様々な旋律を縦横無尽に組み替え、さらに拍感をずらしまくりました。初めて聴く人にとっては案外普通の曲に聞こえるかもしれません。しかし原曲をよく知っている人から見たらちょっと気持ち悪くなるかも、という「書き換え」です。
北海道教育大学 スーパーウィンズ 2023
「来るべきメタ吹奏楽の世界」
2023年11月27日(月) 岩見沢市民会館まなみーる
2023年11月30日(木) 札幌コンサートホールKitara大ホール
【出演】
指揮/渡郶謙一 ナビゲーター/田村 生 演奏/北海道教育大学 音楽文化専攻 管弦打楽器専攻生
【プログラム】
バッハ=田村文生:シャコンヌ
ハチャトリアン:ソヴィエト警察行進曲(日本初演)
菅野由弘:環状列石
尹伊桑=田中賢:無窮動
田村文生:道成寺
山本裕之:シオンは物見らの歌うを聴けり