ギターソロの新作《葉理》が初演されます

初演|Premier, 演奏|Performance

10月はギタリスト山田岳さんのリサイタルにて、委嘱作《葉裏Lamina》が初演されます。

実はヴァイオリン属も含めて弦楽器を自分で弾いた経験がほぼないため、2015年の《中継のエレキギター》(佐藤紀雄氏初演)に続いて今回はクラシックギターを学生に借り、ギタリストはよくもあんな太いフレットを自由自在に素早く押さえるものだと思いながら、試行錯誤しながら左手の押さえどころを探しつつ書きました。そうするとド素人である自分の手の届く範囲内の音ばかり書いたためにあまり無理のない楽譜になっていたのか、あるいは山田さんのテクニックがあまりにも超絶過ぎたためなのか(おそらく後者でしょう)、自分がかなり若い頃に書いたバッハをネタにしたギターソロ作品のような「明らかにわかっていない人が不可能な音ばかり書いたため奏者を苦悶のどん底に陥れる」懲役刑級の悪夢が、まるで遠い夢の中の出来事だったかのように、今回は初回リハーサルから既に理想的な音楽の形にして聴かせていただくことができました(ちなみにバッハネタの曲は作品リストにはありません)。

6本の弦のうち奇数弦を通常の音、偶数弦を4分音に調弦してあります。そうすると二つのずれた平均律が均等に混ざり、ある時は歪み、ある時は混濁し、またある時は軸にブレが生ずる音楽となります。つまりこの新曲における私の興味は、特殊調弦によって作られる平均律のズレを現代のギター奏法で徹底的に転がしてみることでした。それ以外に特別な試みをしているわけではありませんが、山田さんが弾くとなぜかカッコイイ曲に聞こえるので不思議です。

プログラムも見る人が見れば分かるように、ギタリストというより現代に生きる音楽家としての審美眼が見事に発揮された選曲です。ちなみにクレメンティの曲は山田さんの1stアルバムに収録されていて、彼のサイトから一部試聴することができます。


山田岳 ソロ・リサイタル
2018年10月17日水曜日 19:00〜21:00
ティアラこうとう(江東公会堂)

[プログラム]
山本裕之 / 葉理 (2018/委嘱初演)
中川統雄 / 新作 (2018/委嘱初演)
ダリル・ゼミソン / 歌枕 1 : 寧楽池 (2018/委嘱初演)
近藤譲 / カラミンサ (2000)
クラレンス・バーロウ / …until… (1980)
ファウスト・ロミテッリ / Trash TV Trance (2002)
アルド・クレメンティ / ミケランジェロ・ガリレイの断片に基づくファンタジア(1978)