《エンベッディングII》の初演@大阪
去年の12月にフルートの木ノ脇道元さんによって《エンベッディングI》というソロ曲が初演されたのですが、まったく同じアイデアでヴァイオリン・ソロの曲を書くことになり、3月2日に大阪の豊中市立文化芸術センターで初演されることになりました。
その「アイデア」については初演告知の記事に詳しく書いたのでくり返しませんが、簡単にいうと、「あることを説明するための説明」をするような複文構造を持っているある論文の一センテンスを、単語に分解して、演奏者が一つ一つ発話しながら演奏する、というものです。
フルート曲の告知では触れませんでしたが、センテンスの構造と単語の関係をどのように音楽化するかということには、私が最近用いている「機能を持たない調的和音」が関わっています。
このことを具体的に説明しようとすると大変なことになるので端折りますが、簡単にいうと、品詞ごとに「長三和音」「短七の和音」など調的な響きを当てはめることによりキャラクタライズした上で、それらが文章として連続したときの和音連結を、音楽の連続的な構造とします。そして元のセンテンスの複文構造を解析して並び替えると、それに合わせて音楽的な和音の連続的な構造も組み替えられる、ということになります。
なんのこっちゃという感じですね。実際聴いてもそれを把握するのは難しいかもしれません。ただ発せられるセンテンスが途中で奇妙になる事はわかると思います。鑑賞するうえで、品詞と和音の関係についていちいち気にするのは必要ないと思います。クラシックを聴くときも、転調や和音の機能をいちいち気にしなくても楽しめるのと同じです。作曲家としてはそこに「見えない仕掛け」を少し施している、という感覚です。
演奏はGeorge Kentrosというスウェーデンのヴァイオリニストで、私は古くから知っているのですが、今回はたまたま主催である日本現代音楽協会の福井とも子さんより誘っていただいて、彼のために書かせていただくことになりました。ちなみにこの曲で語られる論文のセンテンスは日本語と英語ですが、ジョージは親日家で昔から度々日本に来ており、彼からのメールにも少しだけいつも日本語が交じってるので、日本語を話させても大丈夫、と見込んでいます。むしろ喜んでやってもらえると思っています。

現音 in 関西 vol.12 演奏家+作曲家コラボレーションシリーズ
ジョージ・ケントゥロス ヴァイオリンリサイタル
+ Archive Viewing
2026年3月27日(金)18:30開場 19:00開演
豊中市立文化芸術センター小ホール
宇野文夫/即興曲
近藤浩平/「呉春の猪、若冲のラクダ」からの情景 作品246
佐井孝彰/Capriccio 〜無伴奏ヴァイオリンのための(2025改訂初演)
飛田泰三/dusk+violin
福井とも子/カラーソングVIII
北條美香代/悲歌 〜無伴奏ヴァイオリンのための〜
増田建太/eye
南川弥生/A call to the beyond for Violin
諸橋玲子/L’ombre II(陰翳)
山本裕之/エンベッディングII(主催者推薦作曲家作品)
喜多川璃音/田舎といういんちきオペラのための「道化の華」(公募作品)
ちなみにこの公演はウェブ視聴が1000円でできます。遠方の方も大阪に来なくても大丈夫です。ご希望の方はメッセージをお送りください。
