《閾(しきい)の踊り》初演予定

The first proper solo string piece for me in effect, called Dance of the Threshold, will be premiered by Aki Kitajima on 30 June in Urayasu, near Tokyo. The piece will then be performed in Aichi and then Munich.

これまで百数十曲も書いてきましたが、意外に弦楽器のソロ曲がありませんでした。厳密にいうと2001年に「まつもるふぉしす」という、松平頼暁氏生誕70周年記念コンサートのために書いたヴァイオリン・ソロ曲がありますが、たった1分の小品です。「ヴァイオリンのソロ曲はありますか?」と聞かれる機会がこれまで何度かあったものの、この曲ではさすがに極小品過ぎるし、なにしろ書いたきっかけが私的なものでもあるので、(一応作品リストには載せているものの)実質的に「ない」というのが答えです。1

チェリストの北嶋愛季さんより委嘱していただいた今回の曲は、ですからはじめて「まとも」な弦楽器のソロ曲です。《ダンシング・オン・ザ・スレッショルド》Dancing on the Thresholdというタイトルなので、邦訳すると「閾(しきい)の踊り」みたいなものでしょうか。閾というのは「敷居」とも読め、意味としては何らかのものを分ける「境界」ということになります。

この曲のおそらく分かりやすい部分は、私の曲で折を見て覗かせる「舞曲」(ダンス)的なスタイルだと思われます。この場合の「舞曲」というのは、ある特定の地域や時代の具体的な舞曲を表すわけではありません。「ありそうだけど、しかしどこのものかよく分からない。けど明らかに舞曲的なリズムや抑揚を持つ曲」という位置づけです。簡単にいうと「どこか知らない架空の国の踊り」みたいな感じでしょうか。

初演は2024年6月30日の千葉県浦安市を皮切りに、7月6日に愛知県江南市、その後ミュンヘンでも演奏される予定だそうです。

  1. 実は学生時代に書いた20分のヴァイオリン曲もあるのですが、それはまあ、置いとくとして。 ↩︎

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